アスベストに注意!

= マスクの選び方 目安と知識 =

(1) アス対応マスク (簡易マスクでアスは防げない)

【マスクの性能】

アスベストは湿った状態で地面にあるうちはさほど問題ではありませんが、乾燥して細かくなって空中に飛散してしまうと、花粉などより遙かに粒子が微細で花粉用の簡易マスクではアスベストの侵入を防げません。
アスベストに対応しているマスクは「使い捨てタイプ」の物であっても「粉塵・防塵」という表記の他に
「性能表示」の記載があるはずです。

(社)安全衛生マネジメント協会HPではボランティア活動に於ける推奨マスクとして、
「粒子捕集効率95%以上」・・・・厚生労働省の国家検定試験に合格した区分2以上のもの(RS2・RS3または、DS2・DS3と表記されています)ですが、手に入りにくい場合は、N95の防じん用マスクをお選びください。
とありますので、この「粒子捕集効率95%」 「区分2」以上というのがアスベストに対応しているという目安になっているのだと思います。

マスクの性能表示は「DS」とか「RS」と、様々な表記があります。
は「使い捨て」、は「交換式」、は「固形粒子用」という意味です。
ただ購入する側から言えばこの様な表記は分かりづらく、N95マスクも防塵用の他に、花粉用やウィルス用の物もあります。
ですから、購入しようとしているマスクの性能確認は重要です。また性能表示がなく安価である場合は購入前に販売店に確認し、店員さんがあまりよく分からない様子でしたら、製造元に問い合わせた方が良いと思います。
また問い合わせの時、「アスベストの撤去作業で・・・」と言えば製品性能と関係なく『使用に適さない』との返答になります。

というのも、アスベスト材を撤去する場合、使い捨てマスクで「作業してはならない」となっているためです。

多くの人はがれきの付近に飛んでいる可能性のあるアスベストに備えたい訳ですから、「屋外で空気中に飛散しているアスベストに有効か?」と聞けばメーカーの担当者も現地の状況を考慮して答えてくれると思います。
ホームセンターにいる店員さんがマスクの性能区分などに詳しい様子であったら、すでにメーカーに問い合わせ済みだと考え、購入時にアドバイスして貰っても良いと思います。


【購入の具体例】

粉塵マスクより防塵マスクの方が性能は高いというイメージがありますが、「防塵表記のアス未対応品」も多く見かけます。こういうものは防塵表記でも値段が安いのが特徴で、やはり性能表示の確認は基本です。

私どものマスクは2006年に購入した物で「本体5500円」+「交換式カートリッジ550円×2個」を装着するタイプを使用しています。
「区分RL3・粒子捕集効率99%」と性能表示されています。アスベストの特別教育を受講した時にカタログをもらって団体割引で購入。その他に予備として使い捨てマスクもホームセンターで探しました。


当時は使い捨てタイプで「アスベストに対応」の表記は発見できず、性能表示の「粒子捕集効率」から判断して95%以上のものを購入しました。
値段は使い捨てでも1個「380〜580円」ほどで、けっこう高かったです。

昨今のアス・マスクの相場をインターネットで検索してみると、今はカートリッジ式のもので3000円〜7000円(カートリッジ込み)、使い捨てタイプのものは「10枚入り」で2000円〜4000円くらいで、「アス対応」との性能説明も見かけました。
ホームセンターで購入する場合は上記の金額より割高かも知れません。
けれども、カートリッジの交換時は追加の購入が容易であること、使い捨てタイプの場合も「バラで購入しやすい」、「店員さんに気軽に質問できる」点は魅力です。


【マスクの管理】

怖いのはアスベストの体内への侵入ですから、マスクの内側にアスベストを入れてしまったら無意味です。
ちなみにアスベスト撤去作業の危険度ですが「レベル1〜3」の三段階で、レベル1が最も危険です。
アスベストがあまり飛び散らない製品の撤去(レベル3程度)の作業に私どもが従事したときの着替え手順は次の通りです。

(1)作業にアスベスト含有材の撤去が含まれた場合はマスクを着用したままの状態でヘルメットや作業着、靴などを濡れタオルで拭く。

(2)マスクの外装をウェット・ティッシュ等で綺麗に拭く。

(3)念のためにマスクをしたまま作業着を脱いで袋に入れてしまう。
 
洗濯の時は他の衣類と一緒には洗いません。作業着単独で洗濯します

(4)マスクを脱着してマスク内側をウエット・ティッシュで清掃し、綺麗なビニール袋にマスクを入れて保管。

以上の感じですが、(1)はアスベストの飛散や拡散防止が目的です。
(2)以降は全てマスクの内側にアスベストを入れないための手順です。

また対アス用マスクは他人に貸したり借りたりはしないのが基本です。
マスクの管理状況や使用履歴は当事者しか分からないためです。
当組合では対アス・マスクの管理は自己責任で使い回しや貸し借りは禁止のため、紛失(たまに盗難あり)に備えて「使い捨てタイプ」を予備として用意していました。

アスベストの撤去作業とがれきの撤去作業では危険度が異なります。しかし「使用した使い捨てマスク」「保管して翌日に使う」というのはお薦めできません。マスクの使用限界時間は守るべきです。
装着と脱着を何度も繰り返せば当然アスベストがマスクの内側に入る可能性も高まります。しかも使い捨てマスクはカートリッジ式と比べてマスク内側の清掃が困難です。
そういう意味で使い捨てマスクはまめに交換するに越したことはない、しかし交換の度に費用がかさむジレンマがあります。
被災地に費用的な負担を掛けないためにも、マスクは「他人任せ」ではなく「自分任せ」「自弁する」のが正解です。


夏期は気温も上がり、呼吸も苦しくなります。しかし、がれき等の撤去作業に従事する場合は「息苦しい」等の理由でマスクを外してしまうのはとても危険です。
苦しくなったら適切な場所を選んで休憩するのが正解です。


次は、アスベストに注意 (2)衣服の湿式除去

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この項目の目次

アスベスト被害を予防しよう

瓦礫が乾燥してくるとアスベストが飛散しやすくなり危険が増します。アスベストの吸引予防、拡散防止など、基本的な対処目安をまとめました。

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